中盤。ここ含めたオーコメ、名言連発なんで皆さん見て下さい。おすすめは「キャーっていうシーンの前にギャーッっていうシーンが来る(遊佐さん)」です。


9.対立

 伊東!もうこれは伊東のテーマでいいでしょう。映画中に3回使用。格調高く和の太鼓、笛。手でたたいてる?という柔らかな広がりが、彼のしなっとした佇まい、上品さ、棘は感じさせないけれどじわじわ退路を断って諭してくる口調!ぴったり!密談時に「本気にしますよ」で一段トーンが下がるところが特に好き。
 劇場で一気に株高に。山南生存にビビり倒してたTV版…あれはあれで愛嬌があるんですが5話で沖田の挑発に眉一つ動かさず受け流す強者ぶりがもったいなきーと感じていたです。劇場では逆に「知ってますわよ?」と圧。言葉は事実だけど態度と敬意は…な人。ううん曲者ぉ。

皆様にお聞きしたい。薩摩の人、大川ボイスである可能性について。「聞きもした」の「た」がかなり近く聞こえて…鹿児島出身でいらっしゃるし。監督(熊本)は宮部先生だし(オーコメ情報)、坂本は土佐弁全開だし……………ね~千鶴と薫も岩手弁だそうよお~~~頼むよ藤澤P~~~~。

10.羅刹の真実

 出だしは鐘を打つことで生まれる荘厳な響き。命とは…人とは…。どこかつり合いがとれていない不気味さ、でも聞き入ってしまう。池田屋留守番パートでも使われた山南のテーマも参加。ビオラかチェロか、滑らかに低い弦が、もう覚悟を決めてしまった彼を体現する。「人としても、死なせてください」はTV版で消えていくような語尾だったが、対して濁った太い響き…憐れみを寄せ付けない矜持…指が!指が!!ウワー!!
 数拍、無音にも近い夜風のような響きを経て甲高いヴァイオリン!羅刹のテーマ。太鼓は心臓、血の流れ。頭蓋をひっくり返してさらけだすような異様な興奮…いやこれどう収集つけんねん、な状況を千鶴の変化で強制終了。曲の終わりもまた唐突。

羅刹向けごはん一式(5人前…?)を乗せたお盆、それを右手一本で、一切危なげなくサーブする山南すげえよ。おにぎりだけならともかく汁物付きでしたよ。

11.残された刻

 ストレートな悲哀。病をするっと受け入れているように見せかけている沖田だけど、心は曲が代弁する。「かつて抱いた夢には、もう届かない」…そんな叫びが隠れている。主旋律がかなり間を取ったヴァイオリンで、それが糸のような、せめて握りしめていたいという縁そのもの、なような…こういう痛みが「美しく」聞こえてしまう人間は業が深い生き物。ためらいがちにひっそり寄り添うピアノが千鶴かな。
 沖田は序盤に比べてかなり口調も柔らかくなってて、しかし余裕も小さくなって。それでも親愛と気遣いを見せた最後に「ねえ」。真剣な響きは、劇中は春の始めでも、季節が進むことを厭うような、冬の名残にも似た冷たさを感じる。
 

12.変わらないもの

 池田屋(京都乱舞)ぶりメインテーマ参上。こうして新選組の重要イベントに顔を出しているんですね。
 出だしはほぼ独奏で、他の音は聞こえるか聞こえないかで支える低さ。それが27秒ぐらいから高い弦が段々と姿を現し、互いに違う旋律を重ねる合奏に。思いもよらない別れになった千鶴、これから間者働きが始まる斎藤、悩みぬいて異なる道を選んだ平助、三者三様の孤独が共鳴する。終わりも足早な夕日を追うような寂しさ。メインテーマアレンジでも明るかったり切なかったり勇ましかったり、分岐が凄いなあ。

13.闇より来る者

 鋭い太鼓と甲高さ寸前な女声コーラスのハーモニーからスタート、えげつない逆光でも「これが鬼かー!」と聴覚と視覚の圧力がバランシング。鬼がとにもかくにも凶悪に強いから、音楽も派手さにガッとハンドル切ったとしてもつり合いが取れる。
 池田屋以来、中盤バトル展開。鬼から仕掛けた襲撃なのでよりファンタジーに寄った、文字通り人間離れした速度・パワーとそれを追い続けるカメラワーク。動きでは不知火がシリンダーをシャーッとやるところ好きですね。

(メインメロディー)
 鬼のテーマその2.銅鑼が来たぞ…。21秒目から、シンバルで切って落とされた戦いから、楽器の響きがどこかエキゾチックなような、そして不思議となまめかしさを覚えるんですよね。観賞初回時メモに「インド」って書いたんですよ。熱さ、重さ、動きの滑らかさ。同じ国に住むけれどまったく違う視点で歴史を見てきた存在…それひっくるめて「インド」かな…。
 視点は鬼。バトル相手がモブ⇒原田・山南⇒土方と変遷する、重みが増していくにつれモチーフを担う楽器も変わる。風間VS土方では迫力全振り!「遊んでやろう」のウィスパーから「あのようなまがい物~置いてはおけぬ!」の感情噴出モード、声が低く厚みがあるので怒りが引き立つんじゃ。曲がもう、ガシャーン!な勢いで音が衝突し高め合う。すんごお


(千鶴のテーマ)
 千鶴ー!!!切り分けるなら一瞬ほぼ無音になるここ4:08。千鶴のテーマに合わせた「鬼なんかじゃない」強がりと真っ直ぐな名乗り、風間に促された変化、新しいモチーフ(4:54から)、と同じくペースは乱され…エルフ耳も牙もかわいいね…ここで不安に震える手を取る土方よ。揺らいでいた曲も、支えられた千鶴の心を反映し一気に上向きになって終わる。とはいえ彼女としてはギリギリ、辛うじて緊張が体を支えていたという状況なので、勇ましさより繊細さを取った余韻でした。

バトル的には新選組も
原田⇒トリッキーの権化・不知火と対等
山南⇒天霧と打ち合う、風間が上空から襲撃する際に気づく。防げなかった理由はシンプルな力負け
土方⇒思わぬ鬼の腕力には押されるものの山南を案じた動揺を付かれるまで刀を離さない
と、強い。さらに制圧される山南、土方に至っては転がる姿までしっかり描いていて、そこから立ち上がる泥臭さ、精神力もまた素晴らしい。「かっこいいシーンを描く」に囚われない魅力が表現されているなあ…と唸りました。一言で言え?こういう敗北シーンをいとわないイケメンは好きだよ。