会津・仙台・箱館、ふたたび新選組の物語へ合流。そして終焉へ。
13.誠の旗とともに
悲愴、出だしからクライマックス。オケパート44秒なのにこの密度!大きな交響曲の一部を切り取ったような、濃縮したような。この前にあった沢山の音を想像させるよう圧倒的なパワー。やはり新選組において「会津」はとても意味が重い。メロディーとしても初出で、箱館組とは異なる新選組の物語なんですね。
主役はどちらかと言えば弦か、半音?下がる13-14秒付近が狂おしく好き。そしてやはりシンバルは強い。力強く高め合う音たち、爆発力という点ではサントラの中でも随一だと思ってます。それも潔く閉じていく…最後はせめて静かに、ピアノがただ温かい…。
14.天道の刃
鬼のテーマ3再び。薫…。この子はほんとどうすればよかったん…?そして楽器も何となく息切れしているような、何とも言えない遅さ。りん、と締める鈴の音が幼く…”再会”でも鈴がキーだったので、薫の象徴だったのかもしれないですね。
1:11から再び新選組の二人へ。沖田パートはむしろ薄味。悲しんではいられないというような、いやあえて嘆きはしないというほうが近いか。それでも「限界」は来る。切なげな合唱からじっくり地に足ついた重いピアノの和音、そこからは踏み出す、ただ切り開く音の変化。
絵的には斎藤の「思いもよらなった」と言う顔が見せ場。冷静な人で、頭では理解していたし直前に目の当たりにしてもいる。それでも続いていくと信じていた…。最後の表情、絵面が引き気味ということもあって感情むき出し。断髪して分かりやすくなったのもあります。
ひっそり去ってしまう、ほんま沖田…。沖田だけは千鶴との別れ方がやや不本意な、衝突気味の展開だったんですけど、ここの場面に「それで千鶴ちゃんに嫌われたんだ」と薫への煽りと同時に千鶴への理解を入れることで、悪感情で終わらないパスの回収になったんですね。
15.北へ
チェロ独奏が滑らか。千鶴と風間、二人がこれまでに重ねた信頼がなんとなく察せられる。この二人の間にしかないものもあるんだよなあ。49秒から感情の昂りに合わせて弦の音も高くなっていき、1:04にはついに楽器も入れ替わる。ぐわー!でも甘さに触れる余地が無い潔さ。優しいけれど…!
1:40からぐっと心を切り替えて、高揚しすぎず、コントラバスで送り出す。頑張れあとちょっとだー!あっ。
最初に番宣で吹っ飛ばされる千鶴ちゃんを見た際、1章冒頭おちびちゃんの転んだ姿を思い出して、「大きくなったねえ…」と絶対ここじゃねえ感慨を覚えたことを共有したいと思います。
16.託された想い
冒頭30秒まで、おおーこういうロマンティクスな時に千鶴のテーマじゃないんだなーというのはしみじみ。1章では「自分は何者なのか」という不信で、2章では何も知らないまま別れることになってしまった後悔で使われて…いわば自分の「無知」への悲しみだった。前を向こうという意思はあるけど明暗どっちと言われたらギリギリ暗。蝦夷に至り、そういう自分にフォーカスした痛みはいったん棚上げしてるのがこのメロディー。外向きの響き。ひたすらラブ。
メインテーマ…あっちょっと明るい。ここから。わー明るい。わー。優しく高くなっていく。51秒からのメロディーの変化は”変わりゆく時代”の1:00あたりにとても近い。この一年、沢山の変化があったけれど二人が抱く想いは螺旋の如く高まり戻ってきた。違いはここでオーケストラになること…集合…。
1:27 新政府軍の侵攻。やはり太鼓。ダイジェストながら、戊辰戦争の終わり、ラストサムライ、曲の華やかさも前面に。
1:50 視点が変わって追い詰められる側へ。曲も抑制的に。じわじわと低く低く、銃声で一気にコーラスも重みが。ここは人間としての土方の終わり。あっけないほどに唐突。ここで!?な状況とのある意味ギャップ。
風間が官軍→新政府軍に呼称を変えてるところ好き。あとすまない、エンドを知ってるからなんだけど「土方さんすげー張り切ってんな(腕組み)」と上から目線になってしまって…本当にすまない…だってイキイキしてるから…イキイキしてるイケメンはいじりたくなるから…。千鶴さんにいいとこ見せたいのね。
17.士魂蒼穹
ラストです、大トリです。タイトル曲です。メインテーマの終着地。
かっこいいんだよおおおお!!!
可憐なスタート、笛の息遣い。ピアノの伴奏、想いはそのまま音になる。所々のシャララ…が二人の世界。
中盤の対峙、コーラスとともにドオン…な広がり。三人の間に敵意・害意はもう存在しない、ピアノの和音も柔らかい。ただ必然と漂う緊張感。1:55鋭いシャン…を経て羅刹化。画面が輝く。ここがいかにも前奏という風で…ああタクトが見えるようだ…。
2:34 激突、シンバル、中音域がより前へ出てきた。弦の一回一回が長い。もう存分に味わって行ってくれ感。3:13、つかの間の呼吸で最後のアレンジ。ハープが入っているのか、優雅さ、人知を超えた生き物の世界、ファンタジック。追いつけない―!!!かっこいー!!!さあいよいよ終わり。いやだ終わらないでー!!を振り切るように再びメインテーマを重々しく、最後の決着は全く異なる形へ、ぐわっと広がる最後の音。
(総括)
劇場版は千鶴の物語であり、土方が彼女を通して仲間との別れをやり直し、自分の夢、新選組の意味と希望をもう一度見出す、何よりそれを自らに許すに至る必然性を描いた物語で、BGMもそんな彼らに寄り添うように変わっていった。もう一人のヒーローたる風間もまた「羅刹とは、鬼とは」に一つ新たな答えを得ていましたね。千鶴のテーマが会津を最後に使われなかったのと同じく、それまでのテーマを踏み越えるのが音楽的な物語だったのかもしれない。
あとは無音に託した展開も。最後とか、ラブシーンに曲が入らない。場面一つ一つに曲を当てていくから一層際立つんだなーと思いました。
年末年始おつきあいありがとうございました!もっかい映画館の大音響で聴きたい。