6.京都乱舞
 さあ来たタイトルを冠する一曲。新選組の代名詞・池田屋。開幕より20分、ここで大きな山場です。12分11秒という長尺、映画全体で90分として13%を占めるの一曲。状況に応じてモチーフが変わっていく、目まぐるしくも耳に負担にならない構成。大きく2部…いや3部…かな(優柔不断)。人/鬼/総括 で見ると3部かな。

時系列で行きます。全編かっこいいんだけどぉ。

(1部/人)
号令。いきなりスピーディー、さあ始まるぞ幕末ビッグイベント。少しずつ上がって、探りパートでひっそりトーンへ落ちる。池田屋が本命、と確信するまでの迷いと切迫感。このときは彼ら自身ではなく都がヤバいという外側の問題で感情を過度に煽らない音選び。

1:33から留守番組。山南パートで活躍するテーマ、ここが初出場。現場組との温度差から来るいら立ち…というより、山南の性質、ギリギリまで感情を押し殺してるピリつきが「待て」な立場で増幅されている。割と同じところで落ち着いて、でも近寄りがたい…気難しいメロディー。

3:20 シンバルから始まる冒頭のスピードアップ豪華版。前半勢いパート。戸を破るミシミシ音さえ素敵おおお細かいことはいいんだいけー!!!
 池田屋へ踏み込む近藤の口上は音量を抑え、不知火の台詞が前に来る。ここすごくないですか。新選組物で近藤が一瞬とはいえバックに回るとは! 幕末といえば新選組/長州、その視点から離れた「鬼」。後半VS鬼な展開に向けて、パスはもうここから始まってる…というこしゃくな解釈を蹴り飛ばす突入、合わせてカメラがブレるわ曲も走るわ、うおー!!!!

4:07 酸鼻を極める修羅場と化した池田屋、外は宵宮、戦場と祭りの境界に千鶴が合流。もう始まっとるがなー!に流されず大真面目に総長の意思を伝える姿に好感度アップが止まらない。そして普段大らかな局長の厳しく張った声!千鶴へかけた「伝令ご苦労!」は、言葉を選ばずに言えば「上から目線」がまーじで様になってて千両役者、大看板…。

5:12 土方合流。全力で走ってきた、前半最後の勢いパートから抑制へ。ここは新選組の舞台、と線を引く戦い。立場上限界まで張った怒鳴り声が落ちたトーンに映える。

振り返ると割と抑制的な時間が長く、テンション上がり曲もこらえかねていたものが蒸気のごとく噴出した、コントロールから外れたような印象を受けます。理性よさらば。

(2部/鬼)

6:00 ここで一回、曲的にもほぼ真ん中でふっと音が気配を消す。沖田・平助と天霧・風間が邂逅。バトルは鬼とのそれへ。メロディーも変わり、テンポはゆっくり目に。悠然と構えた敵の曲。
 流れも一切よどみなく、一回高まった音がぐっと再び押さえつけられる6:31、天霧の圧倒的なパワーとシンクロした畳みかけ!間を開けず原田・不知火戦は打って変わって賑々しく、ガチャガチャ。原田が仕掛けだすと楽器も低くなり、槍らしい大ぶりな動きになっててよいですわー。沖田VS風間もその勢いのまま火花を散らす。屋内ですが下からアングルを駆使したり、風間の髪をゆらっとオーラで靡かせたり…三者三様!よっ人外!続くよ鬼パート!

9:36 ビジュアル的に一番の明暗差にして新演出、千鶴が鬼化、しかも共鳴!輝く銀髪、内側から発光している黄金の瞳!キャーッ!!!当時の驚き喜び…筆舌に尽くしがたい。
 呆然とする千鶴に対して風間は冷徹な目。上がっていく高音コーラスとじっくり安定した極低コーラス。ちょうど二人の声のポジションにハマっている…。なお乱入した土方への反応がその声が聞こえてからということは、わき目もふらずとまではいかないけれど、風間としては相当な慎重さと集中でもって臨んでいたんですね。直前は吐血した沖田を見て露骨にやる気を失ってたので際立つ差…頭領・風間が考える重要性(人間/同胞)が見える。
 一方、トップ(層)を張るという意味では同じ土方も、混乱の余韻が残る中で仲間…沖田そして千鶴を案じる。優しい。曲も「あ、自分いいすか?」な控えめさが「とりあえず状況を確認しよう」な全員共通の空気を醸し出している。

(3部/総括)

11:06 作品テーマ。旗を掲げて誇らしげ、ではあるとはいえ、事故物件と化した池田屋、無残な遺体、恐怖の目の住人…もしっかり描く。そして土方には別の懸念が…「手放しで喜べない」トーンを保持するために一役買うテーマ。明るくなりすぎず、暗くなりすぎず。それでも新選組にとって新しい日々が始まる。良いことも悪いことも抱えたまま進む道です。

7.疑念
 黄昏から夜にかけて。ひそひそ話。ピアノ?単音、一つ一つ独立した響きが他を寄せ付けない。
 千鶴は一体何者か?探る土方。でも相談相手になる山南とはお互い腹を割ってない…むしろ割ってない面積が広がってってるというかー。終わりは上がった不協和音。心としては受け入れ態勢だけど、目撃した現象がそうさせてくれない認知のぶつかり合い。そしてこの「疑念」は千鶴自身も抱いている。土方にはあえて語らせず、千鶴が具体的なセリフとして結果的に代弁する形になっている。二人は同じものを見ている。

土方、山南相手だと正座なのかー(しみじみ)。二人の間に漂う緊張感、なんですかね。お互い意地っ張りだからね。意外とサシでやり取りした描写は少なく、それでも会話の節々で信頼してることが見て取れる関係。

8.久遠の誓い
千鶴の!テーマ!
 冒頭琴が前奏で、17秒からの笛ソロが歌のように聴こえます。バラードを思わせる静けさと感傷。主旋律千鶴にハミングしてほしい~。テンポもゆっくりめ、しっかり歩くぐらいな速度。浮ついたところが全くない。
 劇場版は新選組が「怖い」というのは色んなコメントで語られているところですが、あわせて千鶴も落ち着き、言動に重々しさがあるんですよね。一言でいえば姉タイプ。その由来となる千鶴の根源的な不安…自分は何者なのか…切なくはあるけど暗くはない、諦めない。健気な一曲…。

こっから対立/羅刹の真実/まで使用順とサントラ順が前後する不思議。