京都乱舞~1

1.運命の夜 冒頭~タイトル
(共通テーマ:鬼)
 トップバッター鬼のテーマ。怨み、品、迫力。薄桜鬼のアイテムではないですが般若面を想起するんですよね、一般的な鬼。悲しい鬼。千鶴が薫とはぐれてからでは所々、音が変わる際にクっと引っ掻く奏法なのが嗚咽にも聞こえ、雪村の家の惨劇から観客を逃がさない。いきなり叩き込んでくる。いつ映画が始まったかも曖昧な真っ黒背景に白字で「嘉永七年五月」、そこからじわじわ滲み出てきた、地を這う弦で好きを確信しました

(つなぎ:絵と音)
 そこまでは回想という体か、フィルムなテクスチャが薄っすらかかっていたのが、本編時間軸へ移るのにあわせていつの間にか取りはらわれ、粘度が高く黒い闇から月明かりで青中心に輝く夜へ…、ここ、まさに幕が上がった!とでも言うべき効果を生んでて一本、お見事。負けました。千鶴の息遣いが幼い声から少女のそれへシームレスに変化する一方、曲はドンと銅鑼?で開け、緊迫感もスピーディーなテンポに!楽器だと軽めなシャランが可憐、大きくなったね千鶴ちゃん…すっかり娘さんらしくな「待て小僧!」…あっこの子男装だったわ。

(蛇口全開)
 羅刹こっわ
 千鶴が(≒観客が)羅刹を視認した瞬間ズシン、まるで踏みつけるような男声コーラスが入り、ヴァイオリンソロ。緩急!羅刹的にはお食事タイムだからちょいお静かに~(そうか?)
 浪人は息絶え喧騒は消えたけど状況は悪化、じわじわ近づいてくるに従って曲のボルテージも上がる上がる。羅刹も千鶴も息遣いだけで言葉・理性が無い空間に音楽が前面に出てギャーッ口がーっ!!!!

 一閃

 これは胴体とサヨナラしてますわー、な「モノ」に成り下がった頭部

 血飛沫

 グロテスクにならないギリギリライン。あ、千鶴のドン引き顔は実に癖です。
 斎藤・沖田登場。直前まで同じ音を繰り返していたがここでメロディが復活し、緊張も不安も残っているけれど千鶴も息をすることを思い出す。考えることを取り戻していく。が。

(共通テーマ:タイトル)
 ヒャアー土方さんかっこよ。
 切っ先・逆光⇒月と桜⇒そして。流れるのはクライマックス中心に度々使われる、いわば作品を貫くテーマ。メロディ的には憂いもありつつ凛として、程よい甘味も感じます。何から何までそりゃ見蕩れるわー。圧勝。すうっと千鶴の瞼が下りていく、いっそロマンチックな、でも肉体的な表現。千鶴にとって土方はもはや自然現象レベルといっても過言ではない絶対的な美ですね。
 その衝撃のまま暗転し、タイトル「京都乱舞」…千代紙・着物風に大ぶりな和柄で描かれた背景は、これまた緞帳みたい。幕が再び下りる、王道のオープニング構成…ああもう、とてもとても好み~!!!な4分間でした!もうダメ好き好き!!!

 「緞帳」という言葉を知ったのは金田一少年の事件簿です。どんちょう。あとTV版で「腕力が強くなる」説明に合わせた回想が「刀を噛み砕く羅刹」だったんですが、「それは歯の強度と健康な歯茎と顎の筋肉では」と訝しむ自分がずっといる。薄桜鬼は時々こういうシュールさがあるから困る(困らない)。

2.詮議
 耳をひっかいてくる高音・弦で同じモチーフをリピート。答えがない難問と向き合う。千鶴的には拘束されて選択肢がなく「何が何だか分からないが今は誠実に答えるしかない」とある意味腹が据わってて、どちらかといえば男性陣に寄り添った曲かと。この目撃者をどうするべきか?あえて斬りたいわけではない。それでも安易な慰めは言えない。いずれにせよ、決めるのも結果を負うのも自分達だ。そんな葛藤を存分に、2分と1秒テイスティングな一曲。長さ的には全23曲でも上位です。へー2分越えてる曲、6曲しかないんだ。
 近藤・土方の離席にあたって気づけばオフになっていた。この沈黙が苦しい。ただループは終わり、いったん棚上げ。こんなかっこいい持越し宣言あるんだなーと思いますが、ぐるぐる考えりゃいいってもんじゃないですから。まず寝よ。

 原田がまず「どうするんだ?近藤さん」と聞くところ好きやで。局長を立ててる。そして平助の「総司のやつキツく縛りすぎだ」で劇場に生暖かい笑いが広がった、新宿バルト9のあの日をずっと覚えていたい。5回見れたんですよ。すごない?

3.新選組とともに
 ただ一つ!オンリーワン!日常曲!
 千鶴の勇ましい「はい!」をうけてパンと広がる世界、開く障子。優しく軽妙なメロディ。素朴なほどわかりやすく、そういえば桜の季節で、朝だった…と思い出す和やかさ。24秒から時折入る笛はさながら鳥の歌声。千鶴がこれから彼らと過ごす日々が自然と目に浮かぶ。血と暴力は本質じゃないのだ。うん、なんか、お茶漬けを連想するんですよ。

ワイお茶漬けは梅派(永谷園)。おにぎりはシャケ派。

4.剣戟
 静謐、かつ柔らか、いるだけで背筋が伸びる斎藤と立ち合い。結果的に頓珍漢な言動になってしまったが千鶴の気遣いも愛らしい。曲はふわっと風が吹くように後ろで始まり、少しずつ存在感を増してきて、彼女の踏み込みに合わせて一気に音量を上げ、直後に金属音で千鶴の動きも曲もピタリと止められる展開。余韻。微動だにしない斎藤、彼を追って落ちる襟巻で表される時間!かーっ計算しつくされた画面、はためく音さえ粋ですなあ!

江戸で過ごした10年を知りたい。千鶴さん、道場では相当の強者だったとお見受けします。お隣マダムは器がビッグないい人、は確定してるんですけども。小さい頃は時々面倒を見てもらってたら嬉しいな。

5.捜索
 最短・32秒!セリフもなく、ダイジェストな演出。始まりこそハープで繊細なものの全体は力強く、前述の作品のテーマをオーケストラでワンフレーズ一回。上がって終わる音が名残惜しい。「もっと彼らにはいろいろあるんだよ」を匂わせてます。余韻にセミの声がかぶさり、ううんまるで楽団の一員。こういうSEとのハーモニーもサントラ中心鑑賞から得られる醍醐味ってもんですね。日本の夏…。今?冬。メリークリスマス(執筆時:25/12/25)。秋の実感がないまま今年終わるんだけど騙されてない?
 都人から向けられる怯えた視線もあえて描き、池田屋ラストに向けた動線もくっきり。ワイ声推しオタクだけど、あえて言葉で説明しない演出も好きよウフフ。

2025年の総括ですか?そうですね、来年は夏はそんな早く来なくていいですよ。