慶応二年 春

沖田と伊庭。「自分のやりたいこと」にブレーキがかかる中でこれからを模索していきたい二人。沖田は病気、伊庭は千鶴が新選組から出る気がない、という。千鶴も「沖田の心に寄り添いつつ行動は必死に止める」「伊庭の方針に基本は従うけど要所要所で自分の意思を貫く」という、やっぱり根性見せてこそだよね!な強さが共通ポイントでした。

〇沖田編

「新選組(近藤さん)に貢献しなければ生きている意味がない」の切実さで日々を過ごしてる沖田。近藤以外には皮肉っぽく、ある意味平等なのでこういう権力争い、追い落としには無防備なところがあったのか、自分がターゲットになるなんて想像もしてなかったような。そんで病を明かしたくないから有効な弁解もできない。これはストレスたまる全部壊すしか思いつかない。自分の姿勢が問題なのはわかってるけど打開策が浮かばない。

それにいつでも直球勝負の千鶴強さの塊。「私を斬ってからにしてください」てほんと、合理性とはかけ離れたところにある献身。沖田のほうもそれが本気だと理解するほどに心を開いてる。まだ先は長い…と言いつつ、甘さの欠片もないなりに交流の深みが出ているのだなあ。

二人のお花見パートはひとつ視野が広くなった姿が頼もしいです。近藤の剣でありたいというのは理想ではあるのですがある意味責任からの逃げでもあり。ほんと病気が悪いよ病気が

〇伊庭編

安定の紳士、圧倒的な余裕、王子様。とはいえそれは日ごろそばにいられない歯がゆさと裏表。

伊庭はとにかく千鶴に優しく「連れて帰りたい」を明確に口にする。で傍目に見たら伊庭といる方が彼女の日ごろのいろんな気苦労が減るのは間違いないし、それに「試衛館組に好意はありつつ」「尊重される公的な立場があり」「新選組内のしがらみとは無縁」てこういう問題介入時に行動制限はないので、息しやすそう。いい意味で部外者。

それでも千鶴はその提案を断る。新選組の秘密にうすら寒いものを感じながらそれでも伊庭にすべて託して退くことをよしとしない。彼の優しさに感謝しつつ、でもそこに軸足を置くことはせず、自分のやりたいことを見極める。新選組に残る具体的な建前がぶっちゃけ進展のない綱道探しぐらいしかないからこそ潔さが光ります。

〇真相

その他ルート含めて「谷を殺したのは誰か?」という推理テイスト、やられた!そういうことだったんかい!

伊東兄弟が面白いんですよね。伊庭編飲みパートでは兄が「ほんまこの子は」と冷や汗まで見せて、意外と余裕なかった。三木は、こういう粗忽なとこはありますが伊東にとっては無条件に心を許せるガチの身内。空気を悪くするけど独断で何かやらかしたとは記憶にないので、存命時はちゃんと兄貴が手綱を握ってたってことですな。今回は先手で政敵に疑いをかけただけのスピード勝負。不利を悟ればためらいなく後退。つよい。

一方試衛館組の絆は強くても意識は横並びで、甘えと緊張の葛藤がある(夏)。お互いの「絶対」という安心を得られないまま近藤という看板背負って、さらに秘密を抱える土方・山南はどうにも後手に回る。いや今回の事件はある意味山南が発端なわけだが「ここで仕留めておくしか」な突発的な対応だったんですな。「いいえ?」の含みたっぷり黒幕ムーブに流されそうになるがごまかされないぞ。

それにしても試衛館組はこういう闘争ではとことん受け身。芹沢を排除したのも彼らを鍛えたい芹沢自身の意向ありき、千鶴を軟禁という形で留め置いたのも「とりあえずこうするしか」という流れですし。「隊のためには非常な決断もやむなし」と豪語してるとはいえ、やっぱり気のいいお兄ちゃんたちなんですな。沖田が殿内を斬ったときの保護者ズの荒れっぷり、なんやかんやとあのころのまま、なのはそれはそう。

<味わいメディアミックス>

1.ボケに弱い沖田

沖田ってあえてボケに回って場をやんわりコントロールするタイプ、そのボケも基本「斬っちゃうよ」系統の物騒一本鎗なのでいきなり不条理を仕掛けられるとひたすら弱い、を実感。御伽草子(3話)での「なんで金太郎に挨拶してるの!?」「しかも何か報告してる…」のガチビビりぶりがそんな感じですね。その後すぐの経緯を飲み込んだ気配がと息だけでわかるのがすごい。なおカッコいいボケの極みはTV5話で伊東に「花」を差し出したところですね。かっこよ。

2.ツンが弱い沖田

OVAでは出だしから千鶴に構ったり、寝食を忘れて捜索にあたったり、自分の発言を悔いたり、お、おいおいまだ慶応元年やぞ?ええか?その割に千鶴が帰ってきたら「別に優しくないけど」とばかりに態度はツンになりますが。千鶴も控えめながら素直に応対しますし、お互い遠慮なく気持ちをぶつけ合ってるのが可愛いですよね。メタ的にアニメも11年(当時)の付き合いで、いまさらそんなツンもなかろうよガッハッハという気持ちになります