幕末に息づく鬼の価値観が垣間見えた(幻覚かもしれない)(しょっちゅう幻覚見てる)回。
(1)姓
「鬼は信頼したものにしか姓を明かさない」はい前半、個別ルート入るまでみんなきっちり順守して、下の名前しか教えてくれませんでした。あんなに元気よく独自行動してるくせにこんにゃろうどもめ。
運用としては、慣行であって掟ではないのか(この線引きも面倒な話でごわすが)、あくまで一対一の信頼関係を結んだ結果、何かしら形式に乗っ取ったご挨拶をすること(個性はある)のようですね。なんか支障出ないのかなという疑問はありますが、みんな「陸奥六郡の鬼頭」「西海九国の鬼頭」「漂泊の者」「西国の現神」といった一族に紐づく二つ名があるので、3人称的に困ることはなさそうです。実際会合の場で八瀬姫は「四国の鬼の頭領」と呼んでたので、かしこまった場では二つ名で呼び合う、本名を避けるのがマナーなのでしょうか。あとは地域とか。でも敬称は基本つけない。
とはいえ、例えば千耶は他のメンバーの目の前で「月島翁」とガッツリ姓を呼んでるので、明かす/明かさないは後ろ暗い系の理由があるわけではなく、「我々は姓の開示を終えた、信頼しあっている関係です」という表明でしかないようです。ただこの頭領個別ルート入る直前にすーごい静かに鬼同士、家同士の関係について爆弾発言ぶちかますので、この儀式もご近所だったり昔からの付き合いだったりの形だけのものになってるところは多いんやろなあという推察。姓は知ってる、呼び合うこともありだけど、それはそれこれはこれ。おお…うん。
なんでお爺ちゃんズはしっかり雪奈ちゃんにこの点教えてなかったんだろという疑問がありますが、彼らは年齢相応に付き合いも長く誰が誰かもう一通り挨拶を済ませてるし下の世代にはデフォルト名前呼びだから、こういうの気にしてない世代というので納得しました(つまり忘れてた)。姫は立場が特別過ぎてそういう感覚なさそうだし。そうなんだよねえ、育成や引継ぎってこういう暗黙のルールが大事で手間なのよ…。そもそも涼森家も八瀬姫の専属護衛という独自の基盤を持たない特殊な立ち位置にいるので、こういう慣行の対象なのか考えだしたら「まあそりゃ知らなくてもしょうがないんじゃないすか」ではある。うーむ、一口に十鬼衆と言っても属性の違いで身に着けている「常識」はそりゃ違うわ。
一方で二つしかないはぐれ鬼にとっても「無理に姓を明かされるのは不名誉」なようです。ここ、十鬼衆ではメインで応対してるのが筆頭汐見爺ということもあって柔らかい感じで、若手メンバーも別にそんなきつい態度をとるわけでなく、「嫌がるのはわかるけど身元確認のため頼む」なのがなんか好きですね。
(2)名乗りの儀式
「我は十鬼衆、陸奥六郡の鬼頭。名は千耶、姓は―——」
硬質な響きがかしこまり度随一な名乗りと噛み合っててかっこよいのですわ!あと語感が良いのですわ7・5調っぽくなってて!!!双子ちゃんverも聞いてみたいですわ!!!
とにかくかっこよいのでみて。みて。
勿論他のメンバーも個性的にかっこよく、薄桜鬼ユーザーからだと「うん、あなたの姓はそれでしょうねえ~」という答え合わせでニヤつける瞬間です。
(3)ルールもマナーも変わるもの
ここまで書いておいて幕末、ガンガン姓で呼び合ってる。このマナーはいつの間にかバニシングしてしまったのか…西国の頭領・風間のムーブから見てみましょう。拾いやすいアニメベースで。
| 千鶴 | 薫 | |
| TV版 | 雪村千鶴、千鶴、お前 | ― |
| 雪華録 | 雪村千鶴、お前 | 貴様(一瞬お前) |
| 京都乱舞 | 貴様、そいつ、 女鬼、千の鶴 | ― |
| 士魂蒼穹 | 雪村千鶴、貴様、 お前、この娘 | 南雲薫、貴様、 お前たち |
| OVA(通しタイトル欲しい) | 雪村千鶴、女鬼 | 貴様、 土佐の狐 |
使ってみたかったの。表。なーんか考察っぽくなってきたじゃなーい!?わかったこと?そもそもあんまり相手を名前(姓名どっちでも)で呼ばない(企画倒れの予感)。
そんでもたどり着いた考えはあり、「女鬼」て呼び方、「おいおい乱暴な」という印象でずっときてましたが、親しくない間では本名を呼ばない感覚の名残ゆえ?敬意…丁寧…とまではいわなくても鬼的には常識的な呼び方説がワイの中で有力になってきました。でその次の段階がフルネーム呼び捨て、さらに姓呼び名前呼びに至る?でもって敬称はつけない…?生きていたのか、十鬼衆の価値観…約300年を経て…。
お千ちゃんのことも雪華録で「八瀬の古き女鬼」、また「女鬼」呼びですが、模範的丁寧な暮らしの天霧さんが咎めないからそう考えていいかと。いやむしろ天霧さんもコレやし。
| 風間 | 薫 | 千鶴 | |
| TV版 | 風間 | ー | 雪村千鶴君 |
| 雪華録 | 風間 | ー | ー |
| 京都乱舞/士魂蒼穹 | 風間 | ー | 女鬼 |
| 新OVA | 風間 | 土佐の鬼 | ー |
呼び捨てでビンゴできるやんけ。
まあそうすっとあれですね。TV版風間氏、千鶴ちゃんへの距離の詰めかたへたっぴ…ちぐはぐ。最初はフルネーム呼び捨てだけど個人情報知ってるアピールやし(シンプルに怖い)、次は「千鶴」呼び、二人称はいきなり「お前」と距離詰めたワード…うーむ。千鶴ちゃんが「何この人!?」で固まっちゃうのもしゃあない。
この初動を挽回できないまま、結局TV版の二人はどーにもかみ合わなかったですね。15話での薫君の処刑も一方的にならざるを得なかったし、それからは土方さんという二人して最優先にしたいことできちゃったし。21話に至りどっちもそこそこ頭冷えた状態になって「土方さんとの決着を互いにどうつけるか」という話ができるのですが、二人として分かり合うにはもう遅かったかな~とみてます。雪華録・士魂蒼穹ではそれなりの会話のキャッチボールを経て「お前」になったようで、そうすると千鶴さんも応対が柔らかい。うーん、ステップって大事!あ、拙者雪華録はルートごと別時空説を推してます!
(4)なんでだろ
そもそもこういう戦国時代まで武将って名前呼びイメージです(頼朝、義経、尊氏、信長、秀吉、家康、三成etc)。将軍とかだと同じ姓の人いっぱいおるし、なんやかんやと「家」で動くものなので、その中での個人を特定するという趣旨ですかね。三成とか絶対「石田」呼びされんし。幕末では「家」単位で動くことがほぼなくなってくので、逆に姓よびが多いのかな。