NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK Ⅰ(1-5)

1.コッペリアの棺

 偉大なるアリプロ。通常ver。難解で華やかな言葉達、ものすごい高音ボーカルとヴァイオリン、そしてテンポが速い…これがアリプロ…。
 この曲自体が一つの物語で、閉塞感のある世界で救いを求めるという…正直具体的なイメージはつかない音の圧力…でも格好いい…とポカーンとなってるところに「脱ぎ捨てた靴をもう一度踏みならし迷わず歩き出す」が来ます。
 すごいストレートに前向き。救いは自分の足で探すもの、という強さです。

〇OP(1話~26話)
 そういえばOP(EDも)特別仕様な回はなかったですね。前回主人公たちに何が起きていようと、今回何が起きようと、必ず同じ場所から始まり帰っていく、いい意味の距離感をキープしているのかなと思います。
 OP映像は色合いがビビッドというのでしょうか、多様な黒い背景をバックに赤・青・黄・ほか蛍光色で彩られたキャラクターたちがスタイリッシュに踊るよう。
ミレイユと霧香が基本的に同じカットに収まらないところもこの二人らしくて好きです。

2.les soldats

 厳めしい男声コーラスからスタート。低い。太い。これは宗教音楽的な…?と構えていたら現代的な音が一気にとってかわります(30秒付近)。
 それでも要所要所に神聖そうなコーラスが入るし、テンポは軽く不思議な空気。重い音ぞろいなのですが聴きやすい。
 考え事とが似合う曲。たぶんなんか凄い面倒くさいことが起きています。メールもチャットも見たくない。薄暗くて開けた古い建物の中で味わいたいものです。

〇2話 日々の糧 14:12-15:41
 ミレイユと霧香の初めての共同仕事。「殺人代行業者」という物騒な仕事を生業とする二人のレベルの高さ、己の技量に驕らず準備を怠らないプロの一面が見られます(それと伏線)。
 使用場面は地下水道の練習場。今後も何度か出てきますが、同じ場所で二人の心情や距離感が変わっていくのが見どころです(業者とか来ないのかは気になっている)。この回では二人ともあまり感情を見せず、心を許しあわず淡々と仕事をこなしますが…最後が重い。
 ミレイユはセリフ回しが洒落ていますが、そのなかでも「あんたの殺しはいつも下品ね」が好きです。人殺しに下品も上品もあるものかというのはミレイユ自身が一番分かっているのでしょうが、それでも貫きたい美学があるのですよね。

3.snow

 「静けさ」が曲になったような、無言の優しさが染みる音たち。すっと背景に溶け込む曲で派手な華やかさ、インパクトはありませんが、それでかえって印象に残るシーンを作り出されるのが本当にすごい。2001年という時代もあるのかノワールは背景が基本パキっとしておらず、優しい水彩画調なのがすごくこの曲と合うのです。
 タイトル通り雪はもちろん、小雨の日に聞きたい曲。肌寒い日がしっくりきます。ところではよこれが似合う季節になってくれませんか(現在:10月なのにタオルケット先輩が大活躍)

〇3話 暗殺遊戯 19:30-22:24
 気だるげな、ちょっと掠れた柔らかなお声もチャーミングな「夏水仙の女」は結局何者だったのでしょうか。どんな生き方をしてきたのでしょうか。全部解説しない、そんな監督がSUKI。
 これからの物語に投げかけられる、ノワールとは何なのかという謎。そして彼女らが挑まなければならない数多の困難を想像させるシーン。それはただ敵を殺めるのではなく、嘘偽りを見抜くことだったり、思わぬ「別れ」に耐えたり。それをこの曲が見守っている…。
この回でベラドンナリリーという花を好きになりました。響きもいいですね。

4.canta per me

 前奏からギターの圧が凄い、そしてボーカルが全力で迫ってきます。イタリア語(ラテン語?)で。強い。あまりにも。2番の出だしも2:01からのヴァイオリンも高まります。これだけ声も楽器もみっちり詰まった美しい曲なのに、肝心の霧香には何もない空っぽさと虚しさ。だからこそ「愛しい人よ、さよならと歌っておくれ(日本語訳より)」と願わずにいられなかったのが切ない。
 私がこの曲に初めて触れたのは桑島法子様のアルバム”純色Brilliant”に収録された日本語版ですが、こんな荘厳な歌のアニメがあるのかと聴き惚れ、さらに実際作品を見て「これBGMだったの!?」と目を丸くしたものです。
 もう何も言えません。夜中にヘッドフォンでじっと聴き惚れたい曲。

〇1話 黒き手の処女(おとめ)たち 17:14-19:45
 記念すべき第1話では三度この曲が流れますがどのシーンでも全然くどくありません。基本セリフが無くて、乾いた銃声たちが何というか、よき。すき。背景はありふれた学校だったり殺風景な工事現場だったり、霧香も大人しげで控えめなセーラー服というあまりにも「普通」な絵面とこの華やかな曲がこんなにも調和するなんて。
 そのなかで三回目にしてついに(ほぼ)フルでの使用です。待ってました。霧香防衛戦線イン竹薮。微かに霧がかかったような絵からは草の匂いがするようです。
 霧香のとんでもない能力と罪深さ、自分自身のことが何もわからない彼女の不安と渇望…それが最後の「私と貴女の、過去への巡礼」の一言に詰まっています。

5.corsican corridor

 これまでとは打って変わって南国風の開放感。やたらフルネームで呼ばれるミレイユ・ブーケ姐さんのテーマ。サントラって収録順も凄い大事な要素ですよね(ろくろポーズ)。シャラシャラ系の楽器たちの重なり、そして女性コーラスがどこまでも空に広がっていくようです。
 その分掴みどころがわからない、どこか不思議な印象を受けます。知的でミステリアスで飄々としたミレイユ。彼女は一見「格好いいお姉さん」ですが、柔らかさ、切なさ、繊細な一面もこの曲に表れていて、素敵です。
 風、植物、木漏れ日、爽やかなグリーンが似合う曲。行ってみたいですねコルシカ。

〇9話 イントッカービレ ACTE Ⅱ 4:39-5:35
 基本霧香にはツンなミレイユ。デレはない。彼女が本心を見せてくれる機会は視聴者に対しても少なく、それを表すようにこの曲の使用頻度は結構控えめでした。
 このイントッカービレ回ではそんな彼女のきりっとした普段とは違う面…ビビり倒したり…いいようにあしらわれたり…クールビューティー感がすっかりほどけておりますね。「世界で最も凶暴な姫君」という肩書は関係なく「怖い昔なじみのお姉ちゃんだから」怖いんですよね。うんうん。終始引き気味ながらミレイユを守ろうとうろうろする霧香も健気。
 あと物凄く好きな演出がありまして、「アメリカのホテルでミレイユがトランクを閉じて暗転→シシリアでシルヴァーナが暗い部屋から窓を開ける」という場面転換。出来る限りのショートカット!燃える!!!!ちなみに他作品ですがブラックラグーン日本編でも「図書室の電気を消して暗転→台詞を繋げながら下駄箱を開ける(下駄箱の中、真っ暗な中からのカット)」というのがあり、アニメだからこそ!な絵作り音作りは大好きです。